【東方キャノンボール】キャノンボールから逃げるな【追悼】

CCS †裏† Advent Calendar 2020 14日目です。

13日目

マナ板さんの自分語り記事だそうです。文字数がすごい。

p-manaita.hatenablog.com

15日目

明日はでんちゅらさんが「DIVAのモジュールを眺めながら趣味を垂れ流」すらしいです。


CCS16のharukaです。

書こうと思ってた内容を先に出されるとは思いませんでした。

本当は自分で色々詳しく書こうとおもってたんですが、以下の記事で分かりやすくまとめられてしまったので、自分はこの記事に対する自分なりの考えとかを書いていこうと思いますので、先にこちらを読んでください。これを読んで満足したら僕のは読まなくても大丈夫です。「東方キャノンボールというソシャゲがあった」ということだけ覚えておいてください。

キャノンボールとはなんだったのか。東方二次創作に新たな風を吹き込んだ『東方キャノンボール』という作品について、あらためて考える

銅折葉先生の秋例大祭7新刊のクロネコオーブ、面白かったです。


※この記事には、個人的見解、記憶に基づく曖昧・不正確な記述、幾分かの誇張やクソデカ主語が多く含まれます。
特に界隈に対する発言は所属コミュニティによるバイアスが滅茶苦茶かかっているので、あくまで一個人の戯言だと思ってください。

東方キャノンボールの一生

2018年10月14日、東方projectオンリーイベント、秋季博麗神社例大祭にてとあるソシャゲが開発中だと発表されました。 その名も「東方キャノンボール」、東方project初の公認スマホゲームとして界隈に大きな衝撃をもたらしました。

当時東方projectの二次創作ガイドラインでは、GooglePlayやAppleStoreにおける二次創作ゲームの販売が禁止されており1、この発表をもってその制限が撤廃された形になったので、このゲームは東方という一大ジャンルのソシャゲ進出の先駆けとして大きな話題となり、発表から約一年後の2019年10月1日に正式リリースされました。

しかし、2020年9月14日にサービス終了が発表され、最初の発表からちょうど二年後、本日から二か月前の10月14日14:00をもってサービス終了となりました。

キャノンボールとはなんだったのか」を読んで振り返る

先ほど貼った記事の各項に関連する自分なりの考えとかを書きます。以下、ソシャゲの名称としてのキャノンボールを「キャノボ」、ゲーム内通貨単位としてのキャノンボールを「CB」と呼称します。

「周回」との相性の悪さ -「ボードゲームを持て余している」

銅折葉先生の記事では、主にシナリオや弾幕バトルとの関連で「ボードゲームを持て余している」として話題を展開していましたが、自分は「ソシャゲとしてのボードゲーム」について話します。

昨今の大体のソシャゲは、キャラクターの強化やイベント報酬のために「周回」が要求されます。如何に対時間比、対スタミナ・AP比で素材やポイントを多く集めるかが重要になり、多くの人が躍起になっていると思います。

キャノボも例に漏れず、主にキャラクターのレアリティ上げのために周回が要求されました。しかし、キャノボはボードゲームである上、1ターン毎に全員がダイスを振って、移動して、止まったマスでイベントを起こして……と1ゲーム辺りのテンポは遅いものでした。また、このゲームのアイテムドロップの仕様が、「エスト終了時のCB量に比例して多くなる」システムだったため、勝利条件を達成せずに出来るだけ長くCBを稼いだ方が素材をたくさん入手できる、ということになります。
この二つが合わさり、キャノボの周回は「自分もCPUも勝利条件を満たさないようにひたすら遅延して、CBを稼ぐ」というのが主流でした。1周辺り15~20分程が基本で、放置できるゲーム性でもなかったので、時間も体力も奪われる周回でした。このため、サービス開始初期の時点でこの周回に耐えられず、引退する人間がそこそこ居たと思います。

通常クリアだと~1万CB程度でのゴールだが、20分程かけて稼ぐことで20万近く稼ぐことができた。このステージは1000CB毎に1ドロップのため、1万CB程度だとドロップ数が10個程度なのに対し、画像の場合はドロップ上限の200個。

逆にこの仕様に耐えられる人間であれば、時間をかければどんなキャラクターでも最高レアリティに上げることができたため、無課金でも稼ぎに最適なキャラクターを持っていれば困ることはほぼありませんでした。これは、キャラクターのためにガチャを引く必要がない = 課金する必要がないということです。周回に耐えられないプレイヤーはゲームをやめ、周回できるプレイヤーは課金をしない、ソシャゲとして噛み合っていないシステムだったわけです。

稼ぎの最重要人権キャラだった星5の因幡てゐ。どんな人権キャラでもその低レアを持っていれば、時間をかけることで絶対に手に入れることができた。

一応この仕様に対し、クリアターン数が伸びるほどクリア時のCB量にマイナス補正がかかるシステムや、使用することで丸々クエストをスキップできるアイテムなどが追加されましたが、根本的なシステムはサービス終了まで変わりませんでした。

結論として、シナリオや弾幕バトルとの関連だけでなく、そもそもボードゲームをソシャゲに落とし込みきれていなかった、と思っています。

キャラゲーとしての評価 -「すばらしい部分もたくさんあった」

キャノボの何を評価するかと問われたとき、まず何と答えるかと言えば自分は「キャラゲーとしてのクオリティ」と答えます。
銅折葉先生の記事では各要素のすごさについてふんわりとしか触れていなかったので、どれほど力を入れていたかについて話します。

BGM

東方projectといえば楽曲、が一つの答えとなりますが、二次創作であるキャノボも普通のソシャゲでは考えられないくらい力が入っています。

まず、各キャラごとにボーカルアレンジ曲を1曲持っています。さらに、すごろくのボード用と弾幕バトル用のインストアレンジ曲が2曲ずつあります。さらに、季節限定別衣装などが実装されている場合、さらに収録されます。つまり基本的に各キャラ最低5曲は収録されます。サービス終了時点での楽曲数は、ボードBGM125曲、バトルBGM127曲、ボーカル77曲の計329曲2です。音ゲーか何かか?

なお、これらの曲全て有名同人音楽サークルの新規書き下ろしで収録しています。ついでに一曲ずつそれぞれに同人絵師によるジャケットまでついてきます。
東方キャノンボールBGM制作サークル一覧 - 東方キャノンボール有志攻略Wiki

頭おかしいですね(誉め言葉)

Live2D

キャノボでBGMと同じくらい遺失を嘆かれているのが、各キャラのLive2Dです。他のソシャゲのLive2Dに比べれば見劣りするかもしれませんが、本当によくできていて、コロコロと表情を変え、笑ったり驚いたり怒ったりするのを眺めているのがとても楽しかったです。のちに実装されるキャラほどクオリティが高くなり、個人的には初期実装のちょっとしたアドバンテージとは逆に羨ましさを感じていました。

初めてこのボイス聞いたとき死ぬかと思った。
動画で撮っておかない無能オブ無能オブ無能

ボイス

まずはこちらをご覧ください。
東方キャノンボールの声優一覧 - 東方キャノンボール有志攻略Wiki

オタクなら一度くらいは聞いたことのある名前が並んだ錚々たる顔ぶれです。
有名声優が推しを担当してくれるだけで十分嬉しいところですが、さらに評価できるのが演技指導がしっかりしていたのか、9割方のキャラがイメージから外さないボイスで喋ってくれることです(個人的な感想)。まだ無名な声優さんでも、ほんとに無名か?っていうクオリティでイメージに合ったボイスで喋ってくれます。おかげで自分の中では鬼頭明里の代表キャラは竈門禰豆子ではなく、博麗霊夢です。

自分の推しの八雲紫は、リリース前PVで聞いたときはそうだけどそうじゃないんだよな~(面倒くさいオタク)っていう感想でしたが、一年間毎日聞き続けて、無事僕の中にお茶目で、可愛らしくて、美しくて、でもどこか胡散臭い、既存の八雲紫像を踏襲しつつもまた一つの新しい解釈を築きあげてくれました。
八雲紫(cv.井上喜久子:夢想夏郷等)も八雲紫(cv.ゆかな:キャノボ)も八雲紫(cv.伊藤静:東方スペルバブル)も全部大好き……

なぜ「キャノンボール」だったのか?-「キャノンボールってなんなんだ」

銅折葉先生の記事ではストーリー最終盤で示された「キャノンボールとはどういう存在か」について触れているので、自分はその一歩前、なぜこのゲームは「東方キャノンボール」になったのかについての考察という名の妄想を垂れ流します。

そもそもこのゲームの最大のオマージュ元は桃鉄であると考えられます。 OP映像では霊夢魔理沙が列車に乗っているシーンがあったり、公式イラストの背景に線路の意匠があったり、そもそもディレクターが元々桃鉄の開発に携わっていたり。このゲームの原案時点では桃鉄のように幻想郷全土のマップが基本ゲームだったかもしれません。実際、本編中にも幻想郷全域というマップが存在します。

じゃあキャノンボールはどっから出てきたんだという話。キャノンボールは直訳すると大砲(cannon)の弾(ball)ですが、その他の用法として、自動車や自転車の長距離レースを指すことがあります。Wikipediaでは、

アメリカ大陸を横断する自動車レース(en:Cannonball_Baker_Sea-To-Shining-Sea_Memorial_Trophy_Dash)。特に交通規則を無視して公道最速記録に挑む非合法レース。

とされています。実際チュートリアルでも

魔理沙「そんなことより霊夢キャノンボールやろうぜ!」
霊夢 「はぁ?」
魔理沙霊夢も知ってるだろ、キャノンボール!」
霊夢 「知ってるわよ。大陸を横断して誰が1位になるかを競う……」
魔理沙「違う、そっちじゃない!私が言ってるのはサイコロを振る方!」

という会話があったりします。幻想郷全土を横断する、というイメージからキャノンボールという単語を思いついた可能性は十分にあるかと思います。ガチャを引くための石が「砲石」という名前だったり、ガチャを引く時は大砲から謎の台座に砲石を撃ち込んでキャラを召喚する、などの東方っぽくない要素は、キャノンボールという名前が決まった後に生まれた要素だと考えられます。この段階で、ゲームでは物体としてのキャノンボールを中心にする、という方針が固まり、巨大キャノンボールを集めるだとか、キャノンボールにぶつかってなんか性格がおかしくなるだとかのストーリーが作られていったのかな、なんて考えています。

キャノンボールの最期 -「最後に」

キャノンボールから逃げるな」

いつからか、キャノボをやめた友人たちにそう言うようになっていました。しかしこれは自分に言い聞かせる言葉でもありました。自分はこのゲームの終わりを見届ける、そういう気概で言っていました。

ストーリーの最期で、霊夢は「キャノンボールなんかやってる場合じゃない」とキャノンボールを放り出して駆け出していきます。あのセリフは、魔理沙に対してだけでなく、きっと、プレイヤーに対してのセリフでもあるのでしょう。逃げるなと自分に言い聞かせてきた私にとっては、ゲーム側からその終わりを提示されたことで、本当に終わるんだな、と実感させられたセリフでした。

サービス最終日のスクショ。リセマラで初日がカウントされてないのと、初期に一日サボった以外は毎日ログインした

終わりに

サービス開始から月ごとに何があったかとか、本当はもっと書きたいことはあるのですが、記事公開を遅刻してるのでこの辺で一度筆を置きます。この記事を書くのにアルバムのスクショを掘り返しましたが、本当に心へのダメージが大きい。もっとスクショ撮っとけばよかった、なんで動画で撮っていないんだ、という後悔ばかりが積みあがる。ゲームとしては確かに手放しで褒められたものではなかったけど、毎日毎日耳が腐るくらい聞いたBGMも、最速昇格を狙って朝4時に起きていた闘技場も、CPUキャラやランダム発生イベントにブチ切れ超絶ストレスを溜めながらやった超時間かかる周回も、確かに僕の心に新たな幻想郷として確立された、あの幻想の少女たちの顔も声ももう二度と、二度と、と思うと本当に辛い。

キャノボが終わって二か月が経ちます。時折メインテーマの「華やぐ夢幻の少女たち」を聞いてはあの日々に思いを馳せる日々です。
東方キャノンボールは、2020年12月15日23:59をもって有償砲石の払い戻し期間が終了し、本当の意味で全ての活動を終了します。この記事を読んでくれた方はどうか、東方キャノンボールというゲームが存在したこと、疎まれながらも愛していた人間がいたことを覚えておいてください。このゲームの存在をただの幻想としないために

ここまで駄文を読んでいただきありがとうございました


  1. それ以前はガイドライン的にはグレーな無料アプリが多く存在していた。

  2. ゲーム内ミュージックルームで視聴可能な楽曲の数。この他に名前が判明しているもの、していないもの合わせて30曲弱程存在する。